今回ご紹介する作品はこちら!
凪良ゆうさんの[わたしの美しい庭]です!
2020年の本屋大賞にも選ばれた話題の一作。
これ、本当におススメです。
まずは何にも邪魔されず、ページごとのメッセージを受け取りながら読んでほしい。
これを読んでくれている人にはまずこう伝えたいです。
悪意のない悪意にさらされ、あなたは強いと言われながら本当は心をすり減らしていませんか?
今を生きるあなたにとって、必ず救いになる一冊。
本作から引用して、明日からラインで使える名言もご紹介しています。
それではあらすじ・感想・ラインフレーズをどうぞ!
あらすじ
私が住むマンションの屋上には美しい庭に囲まれた神社がある。断ち物の神様が祀られる”縁切り神社”には、さまざまなものを抱えた人が訪れ… 今話題の凪良ゆうが、吐き出せない苦しみを抱えるあなたに贈る渾身の一作。2020年本屋大賞受賞。
感想・レビュー
評価 10/10
最高の一作。
「流浪の月」から凪良さんの作品を知ったんですが、それに匹敵する(個人的には超える)作品でした。
凪良さんの作品って、本当に色彩が伝わってくるんですよね。
登場人物だけじゃなく、出てくるもの全てが色づいていて、それがキラキラもしていてどこか切なくて。
文章は読みやすいんだけどあまりにストレートで、そのストレートさが時には胸を締め付けました。
普段なら小説を読むとき一気に読んじゃうんですけど、そういうこともあって何日にも分けて読了。
それでも爽やかな読後感と心のつっかえがとれたような気がして、
この本に出逢えて心から良かったなぁと。
本作は縁切り神社のマンションに住む百音ちゃんを中心とした群像劇手法で描かれており、それぞれの一人称視点で生きる喜びも苦しみも吐き出されていきます。
現代では誰しも生きづらさ、窮屈さをどこかに抱えています(ない人はそれでいいんです笑)。
そんなあなたに読んでほしい。
以下少しネタバレを含みますのでご注意ください。
↓
世間が決めた”ふつう”、わたしたちが決めた”ふつう”
本作では世間が決めたいわゆる”ふつう”からはみ出た人にスポットが当てられます。
両親を事故で亡くし、母の前夫である統理と暮らす百音。
ゲイであることを公表している路有。
高校生のときに死別した彼を思い続ける桃子。
毎日をすり減らしてうつになった基。
意志をもった強い悪意に遭遇することもあるけど、本当につらいのは悪意のないポンと生み出されるナイフ。
それを優しさとして受け止めてるべきなのか、笑って返すべきなのか。
わたしも読んでいて、自分の輪郭が分からなくなる時を思い出してふと重ねていました。
器用に生きようとするほど、自分が分からなくなっていくんですよね。
ただ、最後の統理のことば
-ぼくと百音ちゃんは血がつながっていないかもしれない。他にもたくさんの事情があって、これからぼくたちのことをいろいろ言う人がいるかもしれない。でもそれはその人たちの解釈であり、ぼくと百音ちゃんが決めればいい。
百音にとって統理は父親でも兄でも友人でもない。
それでもたしかに2人はつながっていて愛し合っている。
このことばは百音だけでなく、物語のすべての人物や読書を救う一言だったはず。
自分は、自分たちは、己の手で決めていい。
ありふれた言葉かもしれないけど、統理が言うことですっと胸におちていきました。
美しい庭
タイトルや本の表紙デザインからも分かる通り、縁切り神社は美しい庭に囲まれ祀られています。
縁切り神社と聞くとどこか仰々しいイメージがありますよね。
わたしも読み始めの段階はそう思いましたし、近所にそんな場所があったら迂闊には近づけないかも。
ただ、縁切り神社と呼ばれるこの場所が美しいのは、悲しさや悩み、あなたを苦しめるすべての縁をそっと切ってくれる場所だから(もちろん統理が手入れしてくれてるから美しいんですが 笑)。
作中でも神社を不埒な使い方で訪れる人がいますが、そうじゃない。
訪れた人が前を向いて美しくなれる場所なんですよね。
わたしもなにかで立ち止まった時、縁切り神社に寄りたいな。
本作で使えるラインフレーズ!
「贅沢言っちゃ駄目なの?」
これは10歳の百音が大人たちにむけた言葉。
友だち、家族、仕事の仲間がふと自分の気持ちにふたをして過ごしているのに気づいたら、百音のことばを借りてこう投げかけてあげるといいかも。
さいごに
いかがでしたか?
繰り返しますが最高の一作。
流浪の月と同様、映像化されそうな気がするので今のうちに読むことをおススメします!
コメント