今回ご紹介する作品はこちら!
[そして私は一人になった]です!
夫と離婚した著者が30代で人生初めての一人暮らしを綴った日記エッセイです。
この時代はこういう生活様式だったのかという発見もあり、今と全然変わらないじゃん!となぜかうれしく思ったり。
そして、1人の女性の等身大の一年間をそばで過ごしたような不思議な感覚になった一冊でした。
それでは概要・感想をどうぞ!
概要
作者: 山本文緒
1962年神奈川県生まれ。OL生活を経て、人間関係の繊細なずれから生じる喪失、慈しみをテーマに作家活動を続け、現在に至る。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第124回直木賞を受賞。
[そして私は一人になった]
あれほど結婚したかったのに、離婚してしまった。
「六月七日、一人で暮らすようになってからは、私は私の食べたいものしか作らなくなった。」夫と別れ、はじめて一人暮らしをはじめた著者が味わう解放感と不安。心の揺れをありのままに綴った日記文学。
1996年。著者は夫と別れ32歳で初めての一人暮らしへ。飾りつけのない著者のことばで一年間の彼女の生活を日記を通して味わえます。
ひょんなことから一緒にインド・ネパールを旅行することになった81歳クミコとの紀行文、一年間の日記エッセイから4年後・12年後も書き下ろされていて、著者の内面の変遷もたどることができました。
感想
エッセイが著者と自分を近くしてくれる
普段エッセイはあまり読まず、読んでも芸人さんのエッセイが中心でした。
というのも、わたし以外の方も大抵そうだと思うんですけど、エッセイってその人自身に興味がないとあまり手が伸びないんですよね。
ただ、なんとなーく表紙とタイトルに惹かれて本書を手に取りました。
浅学ながら山本さんは初めて読む作家さんで20年以上前のエッセイだったんですが、ビックリするくらいするすると読んでしまいました。
著者の日記が出版を前提にしているんじゃなくて、文章を通して自分と向き合っている感じ。
だからこそ読み手も等身大の女性の生活が伝わってきて、勝手に仲良くなった気分になりました(笑)
お昼に電話が鳴って、寝ていたけれど、たぶん編集の人からだと思ったので無理して出る。
”とっくの昔に起きてました”とばかりに明るい声を出したつもりだが、きっと敵は分かっているに違いない。
ビデオに録ってあった「世界遺産」と「やさしい英会話」を見ながらご飯を食べる。
この組み合わせを見ると、どこかに旅行に行きたくなる。しかしあんまり暑くて、遠くの国には行きたいけれど、近くのスーパーには行く気がしない。
クスっとくる共感が文章のいろんなところに散りばめられていて、この人と話してみたら面白いだろうなーと。
エッセイって、その作家さんをふかく知る一番手っ取り早い文章なのかも。
本業の小説の作品も絶対読もうと思えた一冊。
コメント