自分の髪がきらいだ。
性根が先端まで浸透するように曲がりくねる髪がきらいだ。
雨になると、どうしようもなく収縮する髪がきらいだ。
それなのに、人一倍はやくのびてくる髪がきらいだ。
髪について思い返すと、いい思い出はまるでない。
小学校のころのあだ名は色々ある。「ほくろ」、「すね毛」、「くるくる」など。
小さい人間は、あだ名をつけるのが得意だ。
口もとにほくろがあり、すね毛が周りよりも濃く、鉛筆を差しこめばそのまま収まってしまう天然パーマ。
自分を端的に表していると思う。
よっぽど中身がなかったのか、それとも身体的特徴の存在感が大きいのか分からないが、ほとんど外見的特徴でしかあだ名をつけられたことがない。
その中でも、髪の毛にまつわるものが多かった。
クシを見ると、これまた怒りが湧く。
ぼくにとって、こんなにも仕事をしてくれない道具はない。
通しても通しても髪の毛はまっすぐにならず、それでいて自分は職人然としたスタイリッシュな様式がきらいだ。
中学生の頃からか、まわりはワックスを付けだす。
少しでもオシャレになって、異性の気を引こうとする。
しかし、モテることはおろか、そんな努力をすることすら天然パーマには許されない。
ワックスを付けたとて、ちょっとテカテカするだけで、ぼくの強靭な髪の毛をスタイリングをすることは敵わない。
ガチガチのスーパーハード!!と謳っているメーカーを見ると、ウルトラハードの髪の毛を送りつけたくなる。
そんなこともあり、髪にまつわる商品は基本的に信用しないようにしている。
ストレートの皆さんはご存じないかもしれないが、天然パーマによる機会損失も大きい。
天然パーマは人一倍悩む。
なぜ、こんな髪質なのか。
そして、試行錯誤する。
縮毛矯正という期間限定品以外、髪質が直ることなんてないのに数々の噂に惑わされトライする。
そのあいだ、ストレートは勉強をし、スポーツをし、恋をする。
自分の髪の毛が真っすぐなことなんて、最初から当然という態度で。
天然パーマはそうはいかない。
みんながシュートを決めて学校のヒーローになり、一問でも多くの問題集を解いて名門大学に行く中、ぼくは自分の髪について思い悩んでいた。
背負っているハンディがストレートとはまるで違うのだ。
そんなの言い訳だ!とストレートは言うだろう。天然パーマを言い訳にするな、と。
ただ、そんな卑屈になったのも天然パーマだからなのです。
何かにつけては髪の毛のせいにする内面天然パーマ野郎なんです。
記事にも書いたが最近ボウズにして、髪にまつわる不快感が一掃された。
今まで髪に割いていた時間のあれこれが一体なんだったんだろう。この髪が伸びきるまで、僕はストレートだ。
そんななか、ひとつだけぼくを裏切らなかった髪製品があったことに気づく。
ドライヤーだ。
冷えたときには暖かい風をかけ、不快感たぎる汗をまとったときは冷風で吹き飛ばしてくれた。
スタイリングだって、ワックスや整髪料よりよっぽど役立った。
ドライヤーは天然パーマにもストレートにも分け隔てなく仕事をしている。
決して天然パーマだけにテコ入れしない博愛主義なところも好感だ。
ドライヤー。
ドライヤーだけが、僕の味方だった。
ドライヤーなんて使わなくても髪は乾かせる。一拭きだ。
ただ、長年ずっと寄り添ってくれたドライヤーだけは、坊主だろうがハゲようが使っていきたい。
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